トピックス(2010年分)(各写真はクリックで別ウインドウに拡大表示されます)
NHK文化センター青山教室「歩きたい歴史の町並」その3
小田原の別荘文化を訪ねる 12月18日(土)
城下町小田原は、近代には政財界人の別荘地としても発展しました。風光明媚で温暖な気候、さらには、豊富な海と山の産物にも恵まれた土地です。旧東海道沿いの板橋地区には特に豪壮な別荘が立ち並びました。これらの大部分は立て替えが進みましたが、小田原市の歴史を活かしたまちづくりの成果のおかげで、保存公開された邸宅が人気です。
小春日和の一日、小田原市の政策研究所でご一緒した内藤英治さんの現地案内でまちあるきをいたしました。
12月でもあり締めくくりに名物の小田原おでんの「忘年会」で盛り上がりました。
出版のご案内「横須賀線を訪ねる」
交通新聞社 2010年7月発行
B5版カラー4ページ・モノクロ201ぺージ 定価2,381円(税込)
1889(明治22)年6月に横須賀ー大船間が開業した横須賀線は湘南と都心を結ぶ幹線的役割を果たしてきた。帝国海軍の鎮守府のある横須賀、古都鎌倉と様々な歴史的背景を備えた町を走り抜けたスカ線は他には見られない独特の文化を形成してきた。120年にわたる足跡の紹介の中で、小生の昭和40(1965)年頃~平成に至るまでの70系や電気機関車他の写真や「グリーン車物語」他の文章が掲載された。
出版のご案内「世界の駅・日本の駅」
悠書館 2010年6月発行
A5版・モノクロ277ページ 定価2,500円(税別)
小池滋、青木栄一、和久田康雄編
建築的にも都市計画的に見ても興味深い駅にスポットをあて様々な視点からその価値を見つめ直した本である。小生は、第9章「駅舎の保存と活用」214~239ページまでを担当した。
内容
総 説「駅の文学史・社会史」小池 滋 第1章「都市の形成と駅の立地」三木理史 第2章「駅と建築」小野田 滋 第3章「都市近郊電車と駅」中島啓雄
第4章「貨物輸送と駅」中島啓雄 第5章「駅のホテルと百貨店」和久田康雄 第6章「文人ゆかりの駅」佐藤喜一 第7章「映画にでてくる駅」臼井幸彦
第8章「絵画に描かれた駅」三浦 篤 第9章「駅舎の保存と活用」米山淳一 第10章「音楽の中の駅」小池 滋 第11章「駅名学入門」和久田康雄
講演 鉱石の道「産業遺産サミット」
日 時 11月21日(日)13時30分~15時30分
場 所 朝来市「生野マインホール」
主 催 鉱石の道推進協議会
生野銀山で知られる朝来市生野町は鉱山関連の産業遺産を活かしたまちづくりを推進している。生野銀山で産出された銀を瀬戸内海の港町「飾磨」(姫路市)まで運ぶ当時の高速道路を「銀の馬車道」と題して広く啓発している。歴史的町並みと鉱山の産業遺産が良く保全されている。
一方、生野の北西に位置する明延鉱山(養父市)に通ずる道は「鉱石の道」としてクローズアップされている。明延鉱山から神子畑の選鉱所を経て生野の精錬所に通ずる鉱山の道に我が国最古の神子畑鋳鉄橋(国重文)がある。また、かつて明延には鉱山電車が新井まで鉱石運搬のため走っていた。現在は有志により70mが復元されている。
このような産業遺産を地域活性化に活かす計画が地元市民や朝来市、養父市そして兵庫県が力を合わせて推進している。今回のサミットはこの連携をより強固なものとし、さらに「銀の馬車道」と「鉱石の道」を繋げて一体となった保全、活用を目指すものであった。
最後に「鉱石の道」サミット宣言が読み上げられ満場一致で採択された。
講 演「産業遺産を活かしたまちづくり活動による地域活性化について」地域遺産プロデューサー 米山淳一
活動報告
明延鉱山ガイドクラブ 藤尾賢介
いくのライブミュージアム 木原真一
ビデオレター
「石見銀山からのまちづくりメッセージ」松葉大吉、登美
パネルディスカッション
コーデネーター 兵庫県立大学准教授 宇高雄志
パネラー 地域遺産プロデューサー 米山淳一
鉱石の道推進協議会会長 桑田純一郎
養父市長 広瀬 栄
朝来市長 多次勝昭
但馬県民局長 中塚則男
RAC 2010年度研修会でシンポジウムに参加「絹物語・地域間交流から地域づくりを考える」
日 時 11月14日(日)13時30分~15時30分
場 所 笠原工業(上田市・元製糸工場)
NPO法人RACによる恒例の研修集会が11月13日(土)~14日(日)に上田市(長野県)で開催された。
13日には、明治期に蚕種業で栄えた上塩尻集落を訪ねた。豪壮な農家が今も残っており富の蓄積がいかに大きかったかを実感させてくれる。蚕種にかかせない保存庫はなんと湧水で冷蔵機能を確保していた。また、地域固有の景観としてひな壇状の桑畑が地域のみなさんのボランティア作業で復元されていた。重伝建地区にしたいような素晴らしい歴史的風致を体感できる集落であった。
14日には講演会・シンポジウムがかつての製糸工場であった笠原工業(上田市)で開催された。笠原工業(株)は明治の製糸工場の形態をよくとどめている。所有者で会長の笠原洋一さんの保存にかけるお話はこころにのこった。
基調講演
「養蚕・製糸が地域にはたした役割・信州と群馬の関わり」佐滝 剛(NHKディレクター)、「地域資源を活かしたまちづくりと地域政策」戸所 隆(高崎経済大学教授)のあとシンポジウムが行われた。
パネラー
戸所 隆(高崎経済大学教授)
梅津章子(文化庁文化財部参事官付文化財調査官)
佐滝 剛(NHKディレクター)
清水卓也(上塩尻・ゆうすげと蝶の里の会代表)
米山淳一(一般社団法人横浜歴史資産調査会常務理事・地域遺産プロデューサー)
星 和彦(RAC理事長・前橋工科大学教授)
コーディネーター
後藤 治(工学院大学教授)
横浜は絹糸の輸出で発展した町。関連の歴史的建造物が今も多く残りこれを介して「歴史を生かしたまちづくり」を推進しているのである。今後は、産地の長野、群馬そして「絹の道」沿道の八王子・多摩地区の活動団体、行政を力を合わせて「絹文化顕彰・保全」のためのネットワークを構築して活動を活発化することを米山が提案した。
NHK文化センター青山教室「歩きたい歴史の町並」その2
六合村の養蚕民家集落 11月20日(土)
明治期には日本の絹糸は世界のシェアーの8割を占めていたと言われるほど高品質でした。絹貿易は巨大な富をもたらし我が国の近代化の原資となったのです。
これを支えたのが群馬県、長野県、に代表される農村です。換金できる産業として養蚕は急激に農村に広がりました。六合村は中でも優れた歴史的風致を形成している点で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
NHK文化センター青山教室「歩きたい歴史の町並」その1
旧北国街道・海野宿(長野県東御市)10月16日(土)
10月から新たに始まった講座は歴史的町並みと集落をめぐりその土地の生活文化に触れる内容です。第1回は海野宿。江戸期より北国街道の宿場町として活況を呈したが、1891(明治24)年の信越本線の開業によりその使命を失いました。
その後は宿場町から養蚕や蚕種業に活路を見出し、大いに繁栄いたしました。宿場内には江戸期の町家の他に蚕種で繁栄した証としてうだつを設けた明治期の豪壮な町家等が見られます。海野格子、気抜け、うだつ、用水路等伝統的な意匠が今も息づいています。
「大鉄道博2010」
開催期間 8月5日(木)~31日(火)
開催時間 午前10時~午後5時
場 所 グランドプリンスホテル新高輪・飛天の間
米山淳一企画コーディネートの大鉄道博が昨年に引き続き開催中です。関東の大手私鉄8社の特急・急行列車を中心に「私鉄特急・急行と通勤・観光」を主なテーマとしてヘッドマーク、サボ、愛称板、記念乗車券、写真、HO・O・OJゲージの模型等を展示。これまでない大手私鉄の資料が一堂に会して展示してあります。また、新幹線や国鉄特急関連の資料、模型、ポスターなども多数展示しています。鉄道の魅力を家族皆さまでぜひ楽しんでください。
おかげ様で約14万人の皆様にご覧いただき、盛況のうちに8月31日に終了いたしました。ありがとうございました。
「こだまの日記念講座」
日 時 7月31日(土)13時30分~15時
場 所 藤枝市郷土博物館
講 師 米山淳一
※入館料が必要です 大人(一般・大学生・高校生)200円 中学生以下無料
新幹線網が全国に広がり快適でスピーディーな鉄道の旅が簡単に楽しめる時代になった。「日本人の叡智によって新幹線が完成した」と東海道新幹線の敷設にご尽力された元国鉄総裁 十河信二さんは語っている。
新幹線は新たな線路を敷設して総合的なシステムにより安全に走行している。その技術は世界に誇る緻密で高度なものである。新幹線を支える様々な技術が開発されたが、金谷ー焼津間の151系こだま形電車を使用しての高速度走行試験もその一つであった。動力分散方式が新幹線に採用されたのは、こだま形電車が狭軌での世界最高速度163kmを藤枝市内で記録した実績が大きく影響していると言える。これを記念して藤枝市では、こだま形が速度記録を作った日を記念して「こだまの日」を設定してまちづくりに活かす活動がさかんです。
こだま形電車が狭軌での最高速度を記録した1959(昭和34)年7月31日、試験がおこなわれた藤枝市では「こだまの日」としてこの栄光をたたえている。新幹線誕生につながったこの業績をまちづくりに活かすことを現在模索中である。そこで、「鉄道遺産を活かしたまちづくり」の全国や欧州各国での事例をお話いたしました。その後の意見交換では、高速度試験の様子や体験、東海道本線の特急電車のお写真を持参され紹介する方などが登壇、大いに盛り上がりました。
NHK文化センター青山教室「なつかしい歴史の町を訪ねる」
旧日光街道・草加宿 7月19日(土)
日本橋から約15km、日光街道・草加宿は今も当時の面影を残す、町家、商家が町割りとともに残っている。近年マンションが乱立し始めたが、昔ながら建造物も立派に息づいている。また、綾瀬川ぞいの街道の松並木「草加松原」は美しい景観を保っている。
ちょうど旧町の下町が祭礼の日にあたり、江戸期の歴史を八幡神社やお神輿から実感した。名物のおせんべいの手焼きを体験、購入したりまた、紅虎餃子房が新たに開発した「今様・草加宿観光弁当」をいただいたり楽しい一日となった。
講演会「鉄道遺産を活かしたまちづくり」
日 時 5月22日(土)15時~16時
場 所 東北福祉大学ステーションキャンパス研修室(JR仙山線「東北福祉大前駅」)
主 催 みちのく鉄道応援団、東北福祉大学・鉄道交流ステーション
入場無料
今回の講演は、みちのく鉄道応援団の代表幹事小林和夫さんとの出会いによるものである。
「北陸本線より交流電気機関車牽引による営業列車の運転は仙山線の方が先」と2年前にさくらのデパートで「仙台鉄道まつり」の展示を企画コーディネートした折、ご指摘くださった方である。
実は僕が前職の(財)日本ナショナルトラスト時代に長浜市(滋賀県)にヘリテイジセンター「北陸線電化記念館」を建設し、館内にED70形1号交流電気機関車を保存したことがある。この時、我が国初の交流電気機関車による営業列車が初めて走ったのは北陸本線と紹介してしまった。小林さんはこの間違えをご存じだった。これがきっかけとなって、交流電気機関車の保存に協力してほしいとなった。みちのく鉄道応援団の顧問を引き受け、さらに講演となったのである。
講演では、近代化遺産としての鉄道遺産の保存の現状とその経緯をお話いたしました。初めて鉄道文化財という言葉を用いて全国の歴史的鉄道車両、施設、構造物などを調査した1984(昭和59年)、その後市民の募金による我が国初めてのトラストトレインの実現、動態保存を進める仲間との交流を推進することを目的に「日本鉄道保存協会」の設立等をお話いたしました。今日では、登録文化財や重要文化財となっている鉄道遺産は100を超えた。一般に言われる文化財と肩を並べる時代となり、保存だけではなくまちづくりの核として活用され、地域振興の一助を担っているのである。
また、英国をはじめ欧州等の鉄道遺産の保存の事例も紹介した。まさに世界的に鉄道遺産は輝く宝となっているのである。
現在、利府町に交流電気機関車の試作車ED91形11号と21号の2両が保存されている。さらに、歴代の量産形交流電気機関車ED71形1号、ED75形1号、ED77形1号、ED78形1号、EF71形1号が保存展示されている。我が国の交流文化の証として将来にわたる保存・活用を推進したい。みちのく鉄道応援団は広く市民、行政、専門家、鉄道事業者等と力を合わせて保存・活用プロジェクトをスタートさせる考えである。その際はぜひ、ご支援ご協力をいただきたい。
NHK文化センター青山教室「なつかしい歴史の町を訪ねる」
水郷の商都・佐原 5月15日(土)
重要伝統的建造物群保存地区に選定されている「佐原の町並み」(千葉県香取市)は利根川にそそぐ小野川沿いの河岸の町並みと香取街道沿いの町並みが十文字に交差しているのが特徴です。江戸後期~昭和初期の商家や町家が軒を連ね歴史的景観が形成されている。重厚な土蔵造りや赤レンガ造りの銀行なども見られ町の繁栄の証として興味深い。
昼食は歴史的商家を再生した「夢時庵」でフレンチをいただきました。絶品でした。
帰りがけに近代化遺産である利根閘門(重要文化財)をたずねました。快晴、気持い良い一日でした。
NHK ラジオビタミンに出演
5月13日(木)10時05分~55分
「風景には物語がある」と題してお話いたしました。
アナウンサー村上信夫さんとパーソナリティー神埼ゆう子さんの見事なリードのおかげで楽しくお話できました。地域遺産プロデューサーとして現在、各地で歴史・自然遺産を活かしたまちづくりや観光のお手伝いや、43年前の蒸気機関車の撮影をきっかけに、日本の風景や地域の生活文化の素晴らしさに目覚めて日本ナショナルトラストに入所。さらに歴史的町並みの調査を通じてご指導を受けた地域の名士から学んだまちづくりの極意を紹介。
「景観は結果であり手がかりである」とまちづくりの結果として生まれる日本の風景や景観の奥深さに触れた。常に主役は市民であることも大事。まさにプライドオブジャパン。
出演のお声をかけてくださいましたチーフプロデューサーの安田由紀子さんやスタッフの皆様にお礼申しあげます。
講演「草加のまちは宝の山・地域遺産を活かしたまちづくり」
講 師 米山淳一(地域遺産プロデューサー)
日 時 3月13日(土)13時30分~15時30分
場 所 獨協大学 天野貞祐記念館大講堂
主 催 獨協大学 草加市
入場無料
獨協大学と草加市が協働で推進するまちづくりの一環で講演を行いました。草加市はかつての日光街道の宿場町。お江戸日本橋からわずかに15kmの地点にあり今も当時の宿場の面影を色濃く残している。格子戸を備えた町家が土蔵とともに旧街道沿い健在である。また、松並木が続く草加松原は市民の誇る憩いの場でもある。「川越に負けない歴史の町」と市長さんが挨拶の中で触れるほど歴史的景観が息づいている点に注目したい。
現在「今様草加宿」と銘打って、草加市では歴史を活かしたまちづくりを推進している。まさに草加市のお宝である。なお、憧れの団地生活の代表であった松原団地は立て替えが進んではいるが、我が国の団地文化の拠点として依然として輝く宝であり、一部でも保存したい。これには、商工会長から賛同もいただいた。近世そして昭和の高度成長時の歴史的遺産の宝庫の草加市をぜひ訪ねて下さい。
シンポジウム「まちの宝を探してー地域遺産を活かしたまちづくり」
日 時 3月21日(日)14時15分~16時20分
場 所 下仁田商工会
パネラー
米山淳一(地域遺産プロデューサー)
石井 理(富岡市 花見せんべい社長)
桜井栄信(下仁田商工会事務局長)
コーディネーター
星 和彦(前橋工科大学教授)
主 催 下仁田商工会
後 援 下仁田町
協 力 NPO法人 街・建築・文化再生集団(RAC)
入場無料
RACの事務局長の中村武さんと会長の星 和彦さんのご紹介で下仁田で「歴史を活かしたまちづくり」のお話を市民や行政、商工会の皆様にいたしました。
下仁田と言えばねぎ、こんにゃくそして養蚕業。町はかつての繁栄から時を経て、活力に欠ける様相を呈していた。しかし、街道沿いの商家、町家に伝統的様式が見られ、歴史的町並み景観を形成している。上信電鉄の終点の風情ある駅舎や駅構内に隣接してレンガ造の倉庫が並ぶ。物資の集散地として繁栄した証でもある。町の皆様は地域遺産である歴史的町並等を活かして地域の活性化を推進する方策を練っている。
RACがアドバイザー役として一翼を担っており、今回のイベント実施となった。
出版のご案内 JTB楽学ブックス「歩きたい歴史の町並」
重要伝統的建造物群保存地区86か所 4月1日発売 192ページ 1,785円(1,700円+税)
写 真 森田隆敏 文 米山淳一(※一部写真も撮影)
発 行 JTBパブリッシング
重要重要伝統的建造物群保存地区に選定されている全国86か所の歴史的町並みや集落は、市民、行政、専門家等、みなさんが力を合わせて保存し、まちづくりや観光資源として地域振興の核として活用されている。北は北海道函館市~南は沖縄県竹富島まで風土、歴史、生活文化によって建物の形や住み方が異なる。単なるガイドではなく保存・活用にむけて町を育て、愛し、誇る地域のみなさんの物語でもある。ぜひ、ご覧いただければ幸甚です。