1.自然、歴史的遺産の保存活用プロジェクトの企画と推進

英国のナショナルトラストの活動の柱である、自然、歴史的遺産を取得、または管理、公開することにより地域活性化を推進した。このために市民や企業の募金による第一次、第二次文化財取得保護計画を実施した

◎旧日本美術院跡及び岡倉天心墓地(いづれも北茨城市指定文化財)の修復、保存
 岡倉天心が明治34年に開いた旧日本美術院を岡倉家より取得、史跡公園として修復し公開
 横山大観、木村武山、下村観山、菱田春草らが学んだ近代日本画の聖地
◎白川村合掌造り民家、旧松井家及び旧寺口家の取得、再生
 世界遺産及び、重要伝統的建造物群保存地区になっている茅葺き民家集落には113棟の合掌造りが保全されている。この中の危機にひんする2棟を募金により取得、地域を巻き込んで再生させた
白川村全景白川村民家集落
◎歴史的鉄道車両の動態保存「トラストトレイン計画」の実施
 鉄道車両を文化財の視点から見直し、全国調査を実施、保存を要する歴史的車両、施設、構造物の現況を把握。結果としてC12型蒸気機関車1両、スハフ43型特急用客車×2両、オハニ36型荷物合造客車1両の合計4両を国鉄から募金で取得。大井川鉄道との合意のもとトラストトレインとして営業運転を実施
 我が国初の市民参加による歴史的鉄道車両の動態保存となった

◎安田楠雄邸及び庭園の復元、公開
 特定公益増進法人(いわゆる免税団体)を活用し、相続税を減免し、土地、建物を取得、東京都指定名勝として現況調査、復元調査計画をもとに復元した。
 2006年3月までに建物の復元完了。地域住民活動と力を合わせて実施
◎駒井家住宅(京都市)2003年5月
 特定公益増進法人の特典を活用し、譲渡所得税を減免し土地建物を取得、募金と市補助金を使用し建物を修復し、公開
◎旧モーガン邸(藤沢市)2005年7月
 丸ビル、郵船ビル等、多数の近代建築を設計したJ.H.モーガンの自邸、開発により危機にひんしていた同邸を募金により取得した
 藤沢市、旧モーガン邸を守る会等、広く市民との連携により事業を推進。
 特に物件が、横井英樹氏の別荘でもあり国が設立した(株)整理回収機構の管理下にあった物の保存を目的に2年間にわたる交渉の末、取得した。
 不良債権処理を文化財の保存に転換させた初の事例として注目された

◎名勝旧大乗院庭園の復元、整備(奈良市)
 国の名勝指定庭園の再生。1978年から約30年間、文化庁、奈良県、奈良市、奈良文化財研究所と連携し、現況調査、発掘、復元、整備等を推進

◎大平宿の民家再生(長野県飯田市)1990年3月
 無住となった宿場町の民家を市民活動と力を合わせて再生させた。全戸16棟のうち6棟を取得整備する計画を推進
 結果2棟を修復、あとは飯田市のふるさと事業へと結びつけた

◎東京湾の自然島「猿島」の保全 2001年3月
 自然と歴史遺産の宝庫である島の現況を調査し、保全計画を立案。地元の横須賀市と連携しエコミュージアムを盛り込んだ都市公園として整備

東京湾の自然島「猿島」

明治16年頃築かれたレンガの要塞